12月28日

「仕事してると一年が飛ぶようでしょう」と、同じ鏡台で化粧をしながら母がが言った。うん、はやい。眉を描く。「よくがんばったんじゃないの、8ヶ月」母はおでこにファンデーションを塗っている。うん、がんばった。チークは笑顔の頬骨の上に乗せる。 忘年…

できない

高校生のときは自転車を2台持っていて、その2台とも使って学校へ通っていた。自宅から駅まで行くための自転車と、電車に15分乗った先にある駅から学校へ行くための自転車だった。15分と20分。合わせて8キロを毎日通っていた。自転車に乗りながら同じ曲ばかり…

12月17日

旅の話をもっと聞きたい。と思った。いままで、旅が語られることにあまり興味を持ったことがなかった。でもそれは旅そのものに興味がなかったのではなく、わたしの興味のない、もちろんわたしへの興味もない、テレビの向こうの芸能人の旅だからだ。好きな人…

12月15日

これだけ生きてきて同じ曲ばかり聴いているんだなあ。全曲シャッフル再生しても似たような曲が流れてきて、似たような気持ちになる。蓮沼執太のhello everything、サンキャッチャーを買った日にずっと流していたなあ、とか。 あのときの情熱の速度、厚さ、も…

12月14日

喋るだけ喋った最後にコートを着ながら「あの、帰り際にこれが本題なんですけど、ちょ〜ふあん」と漏らすと、口角をニョッと吊り上げてから「だと思います、うん、そうだと思ってたし、そうだよねえ」と言われた。「ま、でも大丈夫なんですけどね」「うん、…

12月6日

21:30に耐えきれず寝てしまい、3時に起きて、二度寝を繰り返しながらようやく5時には意識がしっかりしだして、うーとかあーとかいいながらぜんぜん終わらないタスクに着手する、日々。今年は頑なに定時上がりさせられているが、来年からはもっともっと遅い。…

12月4日

それでもやるしかない。そうできる機会がわたしにはあるのだから。出会いの巡り合わせと好奇心だけでいろんなことを企むうちにこんなところまできてしまった。ここからは自分の力で唸りを上げなければいけない。わたしはもう、誰かを助けることができるくら…

12月3日

またわるい夢を見て朝からぐずぐずしていた。好きだった人がわざわざ来訪してきて、そのうえ短所を羅列される夢だった。以後気をつけたほうがいいよ、と言われた。自分の変な唸り声で起きた。お酒飲んだから眠りが浅かったのかもしれない。それだけに朝ごは…

11月30日

退勤して21時というへとへとさをもっと体感した方がいいなと思い21時過ぎまでタリーズに籠るつもりが、ななっくのタリーズは20時閉店で、19時半には蛍の光ムードになってしまったのでそそくさと退店した。レターパックを80枚は買うような2017年だったなあ。…

11月29日

業務に使う資料のために、大きく印刷された沿岸の地図の津波浸水区域を太い黄色のペンで塗りつぶさねばならなかった。「もっと濃く」と朱入れされて、二度上塗りした。波と同じ進行方向にペンを動かすことがなんとなく憚られた。無秩序に塗った。黄色でよか…

11月28日

日々の中で日記をつけることの優先順位がどんどん落ちてきた。その事実がいいとかわるいとかじゃなく単純にひとりになる時間が少ないからだと思う。あと感情にあまり左右されなくなった。怒ることと悲しむことが減って笑ってばかりいる。 23歳になった。トロ…

11月3日 夜

この世でいちばんひかりをなめらかに映すのは白ワインだと思った。歌声のような喋り声で、かわいらしくて懐かしくて逞しくて、どうしようかと思った。ほんものだった。 わたし、大学に入ってから一人暮らしの部屋で平賀さち枝の江ノ島ばかりずっと聴いていて…

11月3日

あのときもっとちゃんとビンタして、もっとちゃんとビンタされればよかった。それがすべてなのでもう夢に出てこないでほしい。その時にそうできなかったらもう遅い。ひどいことをしていると思っています、と言われた時、ぶん殴ってよかった。ぶん殴って帰る…

10月31日

やり直しが何度でもきくこと、壊したものに執着しなくても次々に新しいものと出会ってしまうこと、今からわたしが何を失うのも自由であること、その気になったら何もかもうっちゃっていいってこと、大概の不具合はそうするしかなくてそうなっていること、悪…

10月26日

青葉くんと3時間ずっとボールペン片手に唸っていた。話が弾んでばかりで決めるべきことはあまり決められなかったかもしれない。でもいい弾みかただった。わたしは特定の人たちの前で、たくさんのスーパーボールをぶちまけたようにあれこれうきうきとおしゃべ…

10月25日

とても前向きな気持ちで通勤列車のボックス席に座っている。進行方向と同じほうを向いてトンネルをくぐる。シャッフル再生がnever young beachの明るい未来を流す。ぴんと寒いけれど晴れている。黄色い葉から先に紅葉する。 バス停までクレイグが来てくれて…

10月23日

ぼんやりとしたいくつかの不安が低気圧と生理で何倍にも膨れ上がってほとんど泣いたり呻いたりして1日を棒に振ってしまった。やりたいことがあんなにあったのに。攻撃と謝罪以外の選択肢がコマンドとして表示されない。自分の思いつく自分への悪口がいちばん…

1020

人生は円グラフだからなるべく思い出したくないことがあるなら他のもので埋め尽くしながら寿命を延ばし続けるしかない。カメラはいつでも生きているものを生きていないものにしてしまう。地層を重ねて重ねて重ねて重ねて石油になってようやくありがたいと思…

1016

めくるめくスピードであまりにも予想外の方に進む人生ばかりやっているうちに、口癖は「ちょっと待って」と「うそでしょ」になってしまった。自らハンドルをぎゅんぎゅん言わせてコーヒーカップを回しながらそう思った。この人生を、選んだもののようにも、…

1010

「開けたら閉める!箪笥だけに限った話ではないですが」と母に叱られ、含蓄するところが大きすぎてうなだれた。開けっぱなしであり、わたしのキャパシティは自分が思っているよりもずいぶん随分ちいさい。随筆賞をとったときに送られてきた電報のいくつかの…

1003

ミドリのこと好きだなと思ってにんまりしていたら財布忘れて改札通れなかった。玲音ちゃんはコミカルだね、と言われたことがある。コミカルな毎日だと思う。駅員がわたしのうろたえ方を見てほんとうに財布を忘れてきたのだと認めてくれる。ユミさんから1000…

0924

なるべく穏やかにすごしたい。ほんとうにそう思っている。ここ1年半怒涛だったと思う。みっつのお葬式とよっつの失恋とふたつの事故でよろめいて、ひとつの運命とひとつの宿命と静かな小川のおかげでいまはどうにか微笑んでいられる。いくつかの絶交もあった…

0922

雷ちゃんが昨日誕生日だったと言うのでいそいで約束を取り付けた。川沿いのベンチでコンビニのおでんを食べよう、と約束したものの、誕生日だぞ…と思い、100均でしょうもないきんきらのハッピーバースデープレートと、浮かれた眼鏡と、数字のろうそくを買っ…

0920

わたしのこと思い出してね、といくつもの別れ際にそう言った。別れ際にドアまで見送られるのがとても苦手で、信号や分かれ道で、また明日もどうせ会えるみたいなかんじで手を振りたいけど、どうしてもそうってわけにはいかないから、わたしのほうが最後まで…

どこ

怒子、というハンドルネームで共同サイトをやっていたことがある。 16歳か17歳の時なので、6年ほど前のことか。そこには他に喜子と哀子と楽子がいた。文芸部仲間4人で、わたしたちは架空の姉妹を演じていた。喜は黄色、哀は青、楽は緑の、それぞれのプロフィ…

9月5日

あたかもそこで暮らしているかのように、知らない団地に入ってフェンスに頬杖をついてそういう顔ができる。マンションを見上げるのが好きだ。なんていうか、未来があるから。 彼女に腹を立てているのか、あのときの自分に腹を立てているのかわからなくなって…

あki

すごく涼しくて、晴れていて、どことなく音質がクリアで、みんなの香水が柑橘から甘めのものに変わっていて、すべてが濡れてしっとりとしていて、木を焼いたようなけむりくさくて、箱ティッシュみたいなバスが次から次へと駅に来て、人を飲み込んで駅から離…

ファミマの生ハム

コンタクトを切らしたのでここ3日眼鏡で職場に通っている。ガラスに映る自分の顔の野暮ったさに思わず哀れみの表情を向けてしまう。冴えない。冴えないなおい…顔がダサい。 帰り道、何の気なしに眼鏡を外して歩いたら思いの外すべてがぼやけてくらくらした。…

鼻あてのない眼鏡

なんていうか、こう、未収録のものがほしいなって思って(何に?)、日記を書くのを数日渋っていた。いいことなのかもしれない。短歌がたくさんできた。短歌研究新人賞は2首しか載らなかったけれど、いい。なんとなく腑に落ちた。 この2ヶ月のことが2年のこと…

泥濘に

iphoneを家に忘れた。通勤しながら返したいと思っていた業務メールがあり、音楽も聞きたかったので少しうろたえた。取りに帰ることもできないし、どうにもならないのですぐに諦めたけれど、少しうろたえたことにショックを受けた。わたしはiphoneがないとう…