あki

すごく涼しくて、晴れていて、どことなく音質がクリアで、みんなの香水が柑橘から甘めのものに変わっていて、すべてが濡れてしっとりとしていて、木を焼いたようなけむりくさくて、箱ティッシュみたいなバスが次から次へと駅に来て、人を飲み込んで駅から離れていく。街のど真ん中にある小学校では中学年くらいの生徒たちがちいさなハードルを並べている。夫婦と思しき社会人ふたりが顔を見合わせて小走りで点滅する青信号の横断歩道を渡る。銀行員のメガネがべっ甲でつやつやしている。前の女性のリュックサックに咲く花はたぶんカモミール点字ブロックが土踏まずのきもちいいとこに当たるように歩く。いまだに高校時代のローファーを履いている。このままどうなっちゃうかなんてわかんないけど、あのときああしちゃったのは、最善じゃなくても最悪じゃなかったな。くるりとか聴いてさ。って打ちながらガム踏んだ。

 

夏があんなに好きになってしまったのに、秋もこんなに好きだったことを思い出す。何のことも好きになってしまうのは短所じゃないってば。

 

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ざんねんでした!と言いながら抱きしめる。

 

すべてうまくいく、じゃなくて、すべてうまくいってる。